人畜無害の散流雑記

別ブログ閉鎖で引っ越して来ました。自分のための脳トレブログ。

レッテル・放言の垂れ流し

 その昔、製造物責任が議論された時、「濡れた猫を乾かそうとして電子レンジに入れてチンした」という言説が本当にあったかのように流された。使用者責任を強調し、製造物者責任を回避しようとしたらしい。
 最近では、「性自認」をめぐって、「女性を自認することで男性が女性の風呂やトイレに侵入する」という明らかに猥褻罪に相当する想定を、「そういう声もある」と客観性を装いながら無批判に紹介する記事も頻繁に目にする。
 ※6月9日の衆院内閣委員会で自民党新藤義孝氏は「建造物侵入罪、公然わいせつ罪などの犯罪にあたりうる」と答弁している。(朝日新聞6月10日「焦点採録」)
 6月8日の朝刊には「日本人の税嫌い」(増税 どう思う?)との断定まで飛び出した。欧米やグローバルサウスの国民が「税好き」かどうか筆者は知らないが、同じ程度に「日本人の税嫌い」も知らなかった。
 本来、「税」は好きか嫌いかで議論するものではない。どうしてもその水準で議論したければ、「なぜ嫌いか」を議論することになる。しかし、そもそも議論するだけの知識を国民は学んできているのか? 学校教育では税の体系的教育はないし、就職しても所得税の申告は事業所単位で行われ、個人が計算し申告するのでもない。面倒な手続きを経て初めて、国民の一人一人の納税が国の財政を支えていることが実感できるのだが、実態はそうなっていない。さらに「ふるさと納税」で景品につられ、それを国が推進しているのだから、「税嫌い」増進策と言える。そういえば、所得税の捕捉率(クロヨンとかトーゴ―サンピンとか)は、現在どうなっているのだろう。消費税に至っては「益税」もある。税であれば、事業所の大小を問わず申告するのが当然だ。申告補助や小規模簿振興策とは別の話だ。(事業所が税務署の肩代わりをするという戦時態勢を今に至るまで引き継いでいるという説もどこかで読んだ気がする。事業所も余計な業務を担わされているということだ。)
 放言垂れ流しではなく、しっかりした現実的前提を踏まえて議論する姿勢は守ってもらいたい。基本的なことができなければ、有力保守政治家の「言ったもの勝ち」に終わってしまう。