人畜無害の散流雑記

別ブログ閉鎖で引っ越して来ました。自分のための脳トレブログ。

保守主義者の日本「平和」論はまだない?

 「保守の立場から様々な事象を論じる」佐伯啓思氏の論考にはつい反応してしまう。今回の『異論のススメ」は「日本の「平和」とは」だった(朝日新聞23年7月1日)。
 佐伯氏の結論は「日本文化のうちにある伝統的自然観やカミ観念という「思考の祖型」に「平和」の意識を改めて求めることもできるのではないだろうか。しかし、それは近代憲法の発想とは異なったものであり、今日の憲法9条の平和主義とはまったく違っているはずだ。われわれは、日本独自の「平和論」をまだ持ちえてはいないのである。」
 あれあれ? まだ持っていない? 保守合同から数えても70年近くになるのに? 日本独自の平和論を構築するのは日本の保守的学者・研究者の務めなのではないか? 持っていないのなら仕方がないが、できるだけ早く構築して発表してほしい。
 今回の論理の途中に、欧米の世界観との比較で「日本には、この種のメシアニズム的な歴史意識も一神教的な秩序意識もない」「自らの神(絶対的正義)を押し立てて、血みどろの戦争を辞さずという思想は、もともとの日本文化にも思想にもなかった」という文章がある。「独自の平和論」を展開する際には、この文章と、天皇が神だったこと、八紘一宇や鬼畜米英というスローガンを掲げたこと、真珠湾攻撃三光作戦、神風特攻隊などとの関連をぜひ解き明かしてほしい。台湾・朝鮮半島支配も加わるかな。
 
 今朝(7月6日)のニュースによると、ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長・前大統領が、ウクライナ侵攻作戦の「講和」に関して次のように述べたという。「1945年の米国による広島と長崎への原爆投下と同じことした場合だ」。広島でのG7会合を意識しての発言だが、米日支配層にとっては耳に痛いことだろう。そういえば60年前には「米の核は侵略的で悪だが、ソ連の核は防御的で善だ」と真剣に議論する党派もあったっけなあ。
 
 まったく違った話題を一つ。事件が起き、容疑者が逮捕されると、マスコミ報道は警察発表一色となる。明らかに裁判前に白黒が付いてしまう勢いだ。容疑者には弁護士が付くはずだが、警察のリークだけでなく、弁護士を通じての容疑者側の言い分も同時に報道される必要があるのではないか。