人畜無害の散流雑記

別ブログ閉鎖で引っ越して来ました。自分のための脳トレブログ。

領有権放棄 戦後秩序=サンフランシスコ同盟体制からの脱出

23年春になり、体力・気力が復活してくると、次のテーマを設定したくなった。現在の日本を規定する最大の要因はサンフランシスコ体制だが、これまで日米安保との関係では見てきたものの、改めてサ体制そのものを検討する必要があろうと考えた。そこで以下の…

保守主義者の日本「平和」論はまだない?

「保守の立場から様々な事象を論じる」佐伯啓思氏の論考にはつい反応してしまう。今回の『異論のススメ」は「日本の「平和」とは」だった(朝日新聞23年7月1日)。 佐伯氏の結論は「日本文化のうちにある伝統的自然観やカミ観念という「思考の祖型」に「平…

レッテル・放言の垂れ流し

その昔、製造物責任が議論された時、「濡れた猫を乾かそうとして電子レンジに入れてチンした」という言説が本当にあったかのように流された。使用者責任を強調し、製造物者責任を回避しようとしたらしい。 最近では、「性自認」をめぐって、「女性を自認する…

 感性に響かない記事

まずはいつも通り、「朝日新聞朝刊」からの引用。「中世以降、「法の支配」という考え方ができた。一人一人の人間が尊重されるよう国家も法に従うべきだということで、それを憲法という形にした。日本では主権者が明治憲法で天皇だったが、戦後憲法では国民…

あなたも「家族主義」か?

くらし報道部・浜田陽太郎署名の「記者解説 子育て支援 誰が負担」(朝日新聞23年5月1日付)に以下の文章がある。 記者本人には「頼れる子どもはいない」。一方、記者と同歳の知り合いは「4世代9人が一つ屋根の下で暮らす。これなら家族間の支え合いが期…

「無償化が医療費を大幅に増やす」とする「研究結果」の検証を

「厚労省はこれまで、無償化が医療費を大幅に増やすとする研究結果や、不要な薬の投与の助長で子どもの健康を害するといった理由をもとに減額措置の必要性を強調してきた。今回は方針転換を迫られた形だ。」(朝日新聞23年4月6日 「高校生までの医療費助成…

保守思想家・佐伯啓思氏への違和感

朝日新聞22年8月27日付朝刊の佐伯啓思氏『異論のススメ』に一言。今回のテーマは「安倍襲撃事件」だ。 朝日新聞紙上での佐伯氏の論調は毎回慎重な言い回しに終始しているが、そこに違和感がある。佐伯氏は保守思想家だそうだが、朝日新聞側の保守の線引きと…

「民主主義の危機」は存在するか?

朝日新聞2022年8月12日付朝刊のオピニオン欄「山腰修三のメディア私評」に、「安倍元首相銃撃」事件を題材とした「民主主義という参照点から掘り下げて」という一文が掲載されている。 趣旨を示す幾つかの文章を要約・抜粋する。「選挙後、この出来事に関す…

「労働」の日本的形態考・その3 「階級構成」

繰り返しになるが、私の問題意識は、日本の労働者階級が「階級」として成立したのはいつか? だ。明治開発独裁政府が資本主義化を推進していくが、同時に生みだされるはずの労働者「階級」は、「一家をあげて農村から流失し、工場地帯に結集し賃金労働者とな…

「労働」の日本的形態考・その2 「出稼ぎ型」続

大河内一男著『黎明期の日本労働運動』は明治・大正期の労働者創出と労働運動を対象とし、「出稼ぎ型」労働を析出していた。日本の労働者・労働運動はいつまでこの型に嵌められていたのか? 大河内一男・隅谷三喜男編『日本の労働者階級』(1955年2月刊)は…

「労働」の日本的形態考・その1 「出稼ぎ型」

現在の私の問題意識は、「北欧社民的」労働観と「日本的」労働観との質的差異とその歴史的理由にあるが、労働運動と労働観とはそれなりに関連があろうと考え、大河内一男著『黎明期の日本労働運動』(岩波新書・1952年10月刊)を購読した。 ●「出稼ぎ型」労…

残暑払い 息抜き3題

外出減少で感染増。 ―新エビデンス・小池オリ 入院制限、自宅療養。 ―スガ・トリアージ 自助あるのみ、共助・公助なし。 ―スガ・メディカ~ル

 スウェーデンの社会民主主義

「アジア的生産様式論」には私なりの結論を得たので、次のテーマを考えていたら、典型的な社会民主主義国スウェーデンが浮かんだ。15年程前に友人に薦められて何冊か読んだことがあったが、その後も大きな変化はないはずだ。今回は、同国の政界の主軸となっ…

マスコミは、憲法討論・学習の場を365日設けよう

2021年5月3日付朝日新聞朝刊に掲載された同社による郵送法全国世論調査(3000人対象、回収率73%)によると、「衆議院選挙の一票の価値が、都会では地方の2分の1程度でも憲法違反ではない」という最高裁の判断に対して、 「大いに納得できる」4% + 「…

 開発独裁国家・中国

今更ながらだが、「社会主義国家」を標榜する中国の社会構成をどう位置付けるのか、相変わらず各種引用で検討した。 まずは「Wikipedia」(2021年2月25日現在)から。「多くのアナリストは、中華人民共和国は21世紀における国家資本主義国家の代表格である…

 「アジア的生産様式」ノート 福本勝清氏の論考要約

「アジア的生産様式」は定義されていない。その存否でさえ議論がある。ここでは、福本氏が整理してくれた諸説の中から、自分の感覚に合うものを抜粋するしかない。社会科学全般にわたり基礎理論・研究を系統的に学びえず、マルクス主義にしがみついてきただ…

学術会議承認問題への素人の疑問

菅内閣の初仕事である学術会議交代会員の承認問題では、リストから外された6人に焦点が当てられているが、承認された99人は何を感じているのだろうか? 菅内閣に認められて「良かった」のか「まずかった」のか? 99人からは反応が聞こえてこないようだが、…

「個人の尊厳・尊重」が日本の革新運動の重要な潮流に

今回は読後感から。書名に惹かれて入手した、『戦後左翼はなぜ解体したのか 変革主体再生への展望を探る』寺岡衛著・江藤正修編 同時代社 2006年1月刊。 著者は、1935年生まれ、1954年に立命館大入学、同時に日本共産党に入党し山村工作隊に参加。その後、…

ユーロコミュニズム再考   「資本主義でも社会主義でもない過渡期の社会構成体を認める」民主主義永続革命論

「ステイ・ホーム」を強要されて反発したかったが、ジムは閉鎖で自宅周辺を歩くか走るしかなく、また、都県越境「自粛」を打破する元気もなく、籠って本棚に残っていた書籍を手にした。ほぼ40年後の再読だったが、新たな発見があった。 『「ユーロコミュニズ…

PCR検査の集団実施こそが最良の対策だが

スマホアプリ紹介記事(「感染者接触アプリ 週内にも提供開始」朝日新聞20年6月18日付3面)の末尾近くに以下の文がある。「通知で濃厚接触の可能性が高いと分かっても、検査を受けるかどうかは本人次第。」 記者3人の署名記事だが、ここには肝心なことが…

「日本は民度が違う」麻生説に賛成する

COVIT-19感染症の日本の緊急事態宣言解除について、麻生副首相が6月初旬に「日本は民度が違う」と誇った。安倍首相が独断で唐突に「小中学校の休校」を要請したら、全国の首長・教育委員会のほとんどが、地元の現状を考慮することなく平身低頭し「へへー」…

「東京オリンピック中止・全資源をCOVIT19対策へ」を都知事選の争点にしよう

都知事選が迫っているのに、野党はちっとも動かない。「自粛要請」の前に「必要不可欠な」政治活動さえ自粛しているようだ。あらゆる大衆行動が「3蜜」の名の下に規制され、個人活動に留められ、権力への社会的圧力は分散するばかりだ。マスコミも事実上、…

 トリチウムは福島第一で永久保管を

福島第一原発で溜まり続けるトリチウム水の海洋放出策が実施に向けて粛々と手順を踏んでいる。「これ以上溜められない・保管できない」という東電の悲鳴を受けてのものだ。政府の専門家委員会と称する集団は、原発容認が前提なので東電に優しく・環境には厳…

  対米従属を前提とした日米安保

朝日新聞2020年2月4日朝刊「オピニオン&フォーラム」に「日米安保改定はや60年」と題して立命館アジア太平洋大学・出口治明学長のインタビューが掲載された。「「強兵」を代替させ スネかじり「富国」 地の利は冷戦まで」「同盟ぜひ維持 中国とも仲良く …

「総体的奴隷制」の壁に挑む日本の革新運動

≪ 目次 ≫1.明治維新学習のまとめ2.アジア的生産様式3.「全般的危機」論の転形 A.「全般的危機」論の総括 B.「短い20世紀」という歴史把握4.階層化する「労働者階級」と左派の分裂 服部之総から始まった維新史学習は、芝原拓自・中村政則を経て、守…

 NHKの持ち物検査に応じるな! 最高裁受信料「義務化」に抗して

放送法64条1項が、受信設備設置者はNHKと「受信契約をしなければならない」と定めていることを最高裁大法廷は17年12月6日の判決で合憲とし、NHK受信料の支払いを「実質義務化」したとされる。ここでは、本判決の是非を議論しない。参政権・一票の格…

佐伯啓思氏の憲法観を憂う

佐伯啓思氏は保守思想界の泰斗である、との評価をどこかで読んだ覚えがある。そこで、そのつもりで氏の著述に関心を寄せている。 月1回程度掲載される「異論のススメ」も緊張感を持って楽しみにしている。今回は「憲法9条の矛盾 平和を守るため戦わねば」だ…

作文技術

久しぶりの悪文で3回も読み直してしまった。「故郷の新潟市で弁護士をしている幼なじみの妻ががんで他界したとき、追悼文集に載せられていたのだ。」(17年4月8日 be2面 「もういちど流行歌 千の風になって」) 誰の「妻」? ① 「故郷の新潟市で弁護士を…

マイナンバー記載は「義務」ではない

「マイナンバー通知 さまよう135万通」という見出しのリードに次の文言がある。 「受け付けが始まった所得税の確定申告では、今年からマイナンバーの記載が義務づけられる。」 署名解説記事にはわざわざ「確定申告で記載義務」との見出しまでおまけされてい…

 やっと出て来た本音記事―アメリカ大統領選

朝日新聞編集委員が書いている「記者有論」に「オバマ政権の8年 多様性と国際主義の試練」が載った(17年1月12日17面)。その中に次の一節がある。 「「リベラルな米国や保守的な米国などない。米国はひとつである」と訴えるオバマが直面したのは、人種問…