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人畜無害の散流日記

別ブログ閉鎖で引っ越して来ました。自分のための脳トレブログ。

作文技術

 久しぶりの悪文で3回も読み直してしまった。
「故郷の新潟市で弁護士をしている幼なじみの妻ががんで他界したとき、追悼文集に載せられていたのだ。」(17年4月8日 be2面 「もういちど流行歌 千の風になって」)
 誰の「妻」? 
① 「故郷の新潟市で弁護士をしている幼なじみの妻」、つまり別居している自分の妻。
② 「故郷の新潟市で弁護士をしている幼なじみ」の妻、つまり友人の妻。

 前後の文章を再読して②らしいと判断した。この間数分。こんなことに時間をかけたくない。わかりやすい文章を書いてほしい。
「故郷新潟市にいる幼なじみの弁護士の妻」、これではだめだ。言葉の修飾が変わっていない。
「故郷新潟市にいる幼なじみの友の妻」、これならまだいいか。結局、語の親和性を考える必要がある。
 原文に近付けると、
「故郷の新潟市で弁護士をしている幼なじみの夫人ががんで他界したとき」
 妻・夫人・奥さん・連れ合い、表現の差異に注意が必要だ。難しいものです。

マイナンバー記載は「義務」ではない

 「マイナンバー通知 さまよう135万通」という見出しのリードに次の文言がある。
 「受け付けが始まった所得税の確定申告では、今年からマイナンバーの記載が義務づけられる。」
 署名解説記事にはわざわざ「確定申告で記載義務」との見出しまでおまけされている。(「17年2月19日38面)
 ところが、国税庁の「平成28年度分確定申告特集」には、「確定申告にあたっての重要なお知らせ 社会保障・税番号(マイナンバー)制度の導入により、平成28年分以降の確定申告書等の提出の際には、「マイナンバーの記載」+「本人確認書類の提示又は写しの添付」が必要です」とある。
 「必要」と「義務」ではまるで意味が異なる。一見、マイナンバー制度に批判的に見せながら、実際には「必要」を「義務」に読み替え他者に強要する。手口としては実に狡猾だ。こういうことをするから、「朝日新聞」への批判が絶えないのだし、「オルタナティブ ファクト」「ポストトゥルース」だのがはびこることになるのだろう。
 果たして、訂正記事は出るだろうか?

 やっと出て来た本音記事―アメリカ大統領選

 朝日新聞編集委員が書いている「記者有論」に「オバマ政権の8年 多様性と国際主義の試練」が載った(17年1月12日17面)。その中に次の一節がある。
「「リベラルな米国や保守的な米国などない。米国はひとつである」と訴えるオバマが直面したのは、人種問題とイデオロギーで、深く亀裂の入った社会だった。黒人大統領の登場に、「米国は白人国家だ」との反発が保守層に広がった。医療保険改革を力説する大統領演説に、議場の共和党議員から「うそつき」という米では異例のヤジが飛んだ。オバマが進める改革が、白人保守層の危機感を高め、彼らのトランプ支持を加速させた面も否めない。」
 この流れを大統領選の最中に指摘することが重要だった。加えて、「黒人の次は女かよ」という保守的白人男女の嫌悪感や苛立ちを察することもできるだろう。その意味で、クリントン候補が「ガラスの天井」を争点にしたのは賢明ではなかった。

 ぜひ続報を―安倍首相宛の公開質問状

 「真珠湾訪問の首相に歴史認識問う質問状 日米の学者ら」という記事が掲載された(朝日新聞16年12月26日7面)。以下、その要旨。
 提出者は、映画監督のオリバー・ストーン氏 、法学者のリチャード・フォーク・プリンストン大名誉教授、哲学者の高橋哲哉・東大教授、安斎育郎・立命館大名誉教授ら計53人。
 質問1.「侵略の定義は定まっていない」という2013年の首相の国会答弁と関連して、「連合国およびアジア太平洋諸国に対する戦争と、対中戦争を侵略戦争とは認めないということか」。
 質問2.26日からの首相のハワ イ訪問に関し、「中国や朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争犠牲者の『慰霊』にも行く予定があるか」。
 
 さて、この質問状はその後どうなったのだろうか。何らかの経路を経て安倍首相周辺に伝わったのだろうか? それとも出しっ放し? 無視?
 一度紙面で取り上げたら続報は必要だろう。件数が多ければ、訂正欄と同様に、「続報欄 あの記事は今」を掲載しよう。
 議員の誰かが質問趣意書として出さないかなあ。

作られてきた「日本人の平均的戦争観」

 安倍晋三首相の真珠湾訪問後の演説を受けて知識人のコメントが載っている。「ノンフィクション作家 保阪正康さん」の談話の末尾は次の通り締め括られてる。「支持率の高い首相の演説は、日本人の平均的戦争観の反映と言えるかもしれない。」(16年12月29日2面)
 「反映」なのか、支持率の高さを逆手にとっての自説の披瀝なのかは、ここでは問題にしない。
 問題は「日本人の平均的戦争観」がどう作られてきたのかだ。
 保守合同自民党が結成されてから60年、その殆どが与党として現実政治に関与している。そこで行われてきたことは、
 1.「平和教育」を掲げた日教組自民党が敵視し、教師の現場での裁量を狭め、国歌・国旗の権力的強制などもあって、現在では日教組の組織力は昔年の影もない。
 2、近現代史教育の現場での長年のサボタージュ、最近では歴史修正主義の浸透などもあって、太平洋戦争の実態が小中高生に教育されない時代が続いている。
 3.大学生への憲法教育も軽視されている。憲法を学んだ教師が現在どのくらいいるのだろうか。まして、憲法を意識して教育現場で行動している教員は果たしているのだろうか。小中高生には憲法は教材にすらなっていないだろう。イジメ防止の道徳教育の教材にこそふさわしいのだが。
 「日本人の平均的戦争観」は、自民党の狙い通りに作られてきていると言って間違いなかろう。日本とアジアの近現代史日本国憲法については各自で学ぶしかないのだ。

「偽ニュース」報道を考える

 朝日新聞アメリカ支局が「偽ニュース」問題を積極的に取り上げている。「ネット点描 陰謀論信じた男の発砲事件 虚実曖昧な時代の怖さ」(16年12月13日17面)) では、「米大統領選では偽ニュースがあふれ 「ポストトゥルース(事実が関係ない)時代」と言われる。「ローマ法王がトランプ氏を支持」という偽ニュースは、フェイスブックなどで100万回以上共有された。 虚実の境目がどれほど曖昧になっているかを、発砲事件は如実に示す」と書く。19日7面には「偽ニュース 米国席巻」とのまとめ記事が出ている。「ネット点描」の10日程前にも同趣旨の記事があったから、これで3回目だ。
 気になるのは、現象だけを報道し、それが生じている理由を考察していないことだ。「ロシアの工作」に焦点を当てるにしても、曖昧な情報を受け入れやすい社会的状況を解説しようとする努力が必要だろう。
 素人考えでもすぐ思い当たることがある。進化論を認めず学校で教育しない州の存在だ。本多勝一氏がアメリカ「合州国」と以前から指摘している由縁だ。中絶の認否、人種差別、性差別、LGBT偏見、銃所有の認否など重要な社会的規範が科学的知見とも相まって州ごとに散在している。全国一律教育で、科学的知見や道徳的規範が国民的にほぼ共有されている日本との大きな違いだ。
 もう一つは、今回の大統領選で脚光を浴びている没落しつつある中産階級白人系と、それ以外の人々とで「偽ニュース」への感受性が違っているかだ。ここにはまったく触れられていないので分からない。おそらくこの層には「負け犬意識と昔日への回帰志向」が強いのだろう。自国通貨の国際的価値が高まり、国際的価格競争に国内生産が負けて工場が海外移転する状況になったとき、自分たちの経済的立場が新興国の労働者と同様の水準になることを理解していない、またはできないのだろう。日本の場合には、円高を活用した100円ショップと格安ファーストフードの導入により賃金水準を切り下げた派遣労働者を大量に生み出すことで国際的価格競争に伍してきたのだが、アメリカでは、国内の人種や移民を理由とした経済差別構造だけではこうした矛盾を吸収しきれず国際競争に参加できなくなり、本隊の白人労働者層に打撃が及んだのだろう。

 つまり、自分たちの置かれている状況を理解しようとするだけの基礎的知識が国民的に与えられ、受け入れられているかどうかが最大の課題であろう。

在日米軍基地縮小の絶好の機会―トランプ大統領就任で

「トランプ氏の米大統領就任で、日米関係に最も影響を与えそうなのが在日米軍の駐留経費問題だ。
 日米両政府は昨年12月、2016~20年度の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の特別協定で合意。5年間の総額は9465億円で、11~15年度の総額を133億円上回る。米国防総省の04年の報告によると02年の日本の米軍駐留経費の負担率は74.5%で、ドイツの32.6%、韓国の40%と比べてもかなり高い。ところが、トランプ氏は選挙戦で、米軍駐留経費を日本政府が100%負担しない場合の米軍撤退も示唆した。慌てた日本政府は、 在米大使館を中心にトランプ陣営と接触し、説明を重ねてきた。」(朝日新聞16年11月10日付4面)。
 年平均1900億円、負担率約75%はすでに過分な負担だろう。自民党もそれを意識しているから「思いやり予算」と言い換えているのだ。
 そもそも在日米軍基地は日本側が望んで提供しているのではない。太平洋戦争の敗戦で日本を占領した米軍が、日本軍基地を占有し、沖縄では強行的に基地を建設するなどして確保したものを、サンフランシスコ条約で占領を解除すると同時に、日本に基地を提供させるという形式を整え、「占領軍」から「駐留軍」へと呼称を変えたものだ。横田や横須賀など首都を包囲する米軍基地は日本独立への十分な重しとなっている。在日米軍の銃口は日本国外に向いているとは限らない。在日米軍基地を維持したまま日本が政治的軍事的に自立することは不可能だ。「押し付け憲法」を云々する前に「押し付け基地」を撤去することが必須なのだ。
 今回、ドナルド・トランプ氏が当選したことで、就任までの2カ月間で事件が起きたり大変身したりすることなく、その演説通りの政策が日本に提示されるなら、日本国民は喜んで受け入れるだろう。自民党は泣いて引き留めるかもしれないが。在日米軍基地がなくなることで初めて、日本の防衛を自立して考えられ、アジアの中の日本の位置を等身大で把握できるようになる。
 この絶好の機会を逃すべきではない。トランプ氏には公約を実行するよう要請したい。在日米軍基地被害に悩むすべての自治体・住民は、トランプ氏に「米軍撤退」を要請しよう。思いやり予算も不要となり国民向けに使え、基地縮小で土地の活用も自由になる。良いことずくめだ。
 北朝鮮や中国の軍事的脅威にどう対処するかは、自立的に議論することになる。必要なら、改めて基地提供条約を締結すればよい。設置を望む自治体と交渉すればいいのだ。原発と似たようなものだろう。核が必要かどうかも公然と議論すればよい。現憲法が提示する「交戦権を放棄した」国を目指すなら、それにふさわしい行動をとることになる。ロシア・北朝鮮と平和条約を結ぶことがその第一歩となるだろう。
 トランプ氏の他の政策・言動がどうであろうと、「応分の負担」を拒否し「在日米軍の撤収」を実現させよう。これに反対する政党・勢力は売国的と非難されても甘受するしかあるまい。